ヤギ知見


 農林水産省の畜産統計によると、今から約60年前の昭和32年には日本のヤギの飼養頭数は約67万頭、飼養戸数は約61万戸でした。1戸あたり1.1頭ヤギを飼っていました。昔よくある光景として、多くの農家さんの庭先にヤギがいた風景が思い起こされます。

 

 そして現在、平成28年には飼養頭数1.7万頭、飼養戸数は3,600戸と激減しています。1戸あたり4.8頭。経済成長を果たした日本では、「効率」最優先。その結果、ヤギは牛に完敗している状況です。

 

 一方、世界的にはヤギは増加傾向にあります。FAOによると2016年、ヤギの飼養頭数トップは中国で1億5千万頭、2位のインドは1億3千万頭、この2カ国が飛び抜けており以下ナイジェリア、パキスタンがそれぞれ7千万頭となっています。

 ちなみに日本は世界で見ると154位です。今後経済の発展が期待されている国では、ヤギは重宝されるようです。過去の日本もそうであったように。

 

  では、日本に於いてヤギは過去の家畜でこのまま衰退していくのでしょうか?

 

  答えは「いいえ」です。

 

 私個人的には、ヤギはこれから日本に於いても増加していくと推察しています。理由は以下の3つです。

 

 

 まず一つめに、元来家畜であるヤギをペットとして飼う人が増えています。いわゆるヤギのペットブームです。その愛くるしい表情や動き、しぐさを見ているとヤギのペットブームが起こるのも頷けます。

 

 しかし忘れてはならない事があります。一過性のペットブームで終わらせない為に!

 

 例えばヤギを1頭でも、そしてペットとして飼う場合でも、農林水産省の家畜伝染病予防法により、管轄の家畜保健衛生所にヤギを飼養している旨を年に一回届け出る義務がヤギの飼養者にはあります。なぜならヤギは家畜であり、平成22年に発生した牛口蹄疫の教訓を活かす為に改正された法律「家畜伝染病予防法」は厳守する義務があるからです。

 

 堅苦しい事を書きましたが、御心配無用です。こういった情報を正確にヤギの購入者に伝える義務が販売者にはあります。ヤギを購入する時は必ず「家畜商免許」を持った人から購入すれば安心です。

 

 

 二つめに、ヤギ肉の国内需要が急激に伸びています。以下「沖縄新報」によると今から約20年前の1995年、全国のヤギ肉の輸入量は172トンでその内の沖縄県154トンと、ほぼ沖縄県でヤギ肉は消費されていました。

 ところが2016年になると全国で298トンでその内の沖縄県107トンとなりました。沖縄県でのヤギ肉離れはあるものの、本州での 「ハラルフード」としての需要が急激に伸びているからです。

 ハラルフードとはイスラム教徒の食べ物のことです。(イスラム教徒は牛肉や豚肉は食べる事ができません。)

 イスラム教徒は世界で約16億人います。イスラム教徒だけでなく日本には多国籍な人種の人達が増えています。今後もこの傾向はさらに加速すると予想されます。

 

 https://ryukyushimpo.jp/news/entry-633451.html

 

 

 三つめに、日本では国策としてヤギの種を絶やさないようにしています。有事の際、万が一日本が鎖国状態に陥った場合、大きな牛を国内の自給飼料のみで飼養する事は不可能です。

 

 一方、大きな牛に完敗中の粗食に耐える小さなヤギは、国内の自給飼料(雑草等)のみで飼養する事が可能なのです。

 

 国土が狭く山だらけの日本の風土に、ヤギの持つ特性その運動能力と粗食に耐える強靭さはガッチリと適合するのです。そしてそのミルクやお肉で良質なタンパク源を私たちに提供してくれるのです。

 

 

 ペットヤギを販売している当ファームからの上記の情報発信は違和感を感じられるかもしれません。

 しかし、これから「ペットヤギ」を飼われる前の皆様には、「家畜としてのヤギ」の知見が増える事によって、今後ペットとしてヤギを飼われていく上でお役に立てると考えています。

 

 

 最後に私の描く夢は、一家族に一頭のヤギがいる風景の再来です。

 「効率」重視の現代社会においてこそ、ヤギの魅力はますます強くなっていくと信じています。